七大生活習慣病のひとつとして知られる肝硬変（かんこうへん）。C型慢性肝炎にともなって発症し、肝細胞が徐々に破壊され、肝臓が固まっていく病気です。

C型慢性肝炎の原因となるウイルス「HCV（hepatitis C virus）」は、日本で200万人の持続保持者がいるといわれています。

肝硬変とC型慢性肝炎の発症しやすさには遺伝子が関係しています。
肝硬変とC型慢性肝炎の原因と関連遺伝子、予防と対策についてご紹介します。

肝硬変の発症には遺伝子が関係している

肝硬変とは

肝硬変とは、肝臓の組織が次第に線維化して硬くなり、肝機能が著しく低下した状態です。

主な症状としては、むくみや黄疸（おうだん）、腹水、手のひらが赤くなる手掌紅斑（しゅしょうこうはん）、首や胸に赤い斑点ができる、羽ばたき振戦という手の震えなどが挙げられます。

肝硬変は、肝臓がん発症の要因ともなる危険な病気です。

肝硬変の原因とC型慢性肝炎との関係

肝硬変の原因は、ウイルス（C型肝炎やB型肝炎）やアルコール性肝疾患、原発性胆汁性胆管炎などが挙げられます。
肝硬変患者のうち、C型肝硬変は60％、B型肝硬変は15％、アルコール性肝硬変は12％というデータもあります。

なかでもウイルス性のC型慢性肝炎に伴う肝硬変は、遺伝子の違いによる発症しやすさの違いが確認されています。

C型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルス（HCV）に感染しない限り発症しません。
慢性肝炎は肝臓の炎症が起こる病気ですが、自覚症状は現れにくく、気づかぬうちに肝硬変を併発する恐れがあります。

肝硬変の要因ともなるHCVの感染経路

HCVは血液を介して感染します。感染経路としては、覚せい剤使用時の注射器の使いまわし、入れ墨を掘る、消毒が不十分な方法で体を傷つける（自分でピアスを開ける）などが考えられます。感染率は低いものの、性的接触でも感染する場合があるようです。

感染者のおよそ7割が持続感染者（キャリア、運び手の意味）となり、さらにその約7割がC型慢性肝炎を発症するといわれています。キャリアは100人に1～2人の割合で存在しているといわれ、日本では150～200万人いると推測されています。

C型肝炎ウイルスに対するワクチンは無いものの、抗ウイルス剤が開発されており、状況改善が期待されています。

肝臓がんの原因トップであるC型肝炎

肝臓がんの原因のうち、65％がC型慢性肝炎のウイルスであることがわかっています。つまりHCVに感染すると、「C型慢性肝炎→肝硬変→肝臓がん」という順番で併発していく恐れがあるのです。

肝硬変とC型慢性肝炎にかかわる遺伝子

肝硬変とC型慢性肝炎の発症しやすさには、遺伝子が関係しているとわかっています。
遺伝子の特定に至っていないものもありますが、今後の研究によっていずれ判明するでしょう。

C型慢性肝炎にともなう肝硬変の発症にかかわる遺伝子

C6urf10/TSBP

研究中の遺伝子で、詳細な機能は不明。

不明

遺伝子の特定には至っていないものの、C型慢性肝炎にともなう肝硬変の発症率にかかわる多型部位（GH060249）が確認されている。

C型慢性肝炎にかかわる遺伝子

HLA-DQB1、HLA-DQA1

免疫応答において、自己と非自己を見分けるための目印となるタンパク質を産生する遺伝子。

DEPDC5

研究中の遺伝子で、詳細な機能は不明。

肝硬変を予防するには

肝硬変の原因の60％はC型慢性肝炎といわれており、HCVの感染を防ぐのが一番の予防になります。
血液による感染が主なので、他人の血液に触れないようにしましょう。

とくにC型慢性肝炎や肝臓がんが遺伝的に発症しやすい人は注意が必要です。

肝硬変とC型慢性肝炎の発症リスクがわかる遺伝子検査キット

肝硬変の発症しやすさは、GeneLife Genesis2.0（ジーンライフ ジェネシス）やMYCODE（マイコード）ヘルスケアで検査できます。
肝硬変の要因であるC型肝炎や、合併症である肝臓がんといった病気のかかりやすさも同時に検査できます。

遺伝的な発症リスクを知り、大病を予防しましょう！