目の病気「コリーアイ」に要注意!コリーの遺伝病と症状・予防方法

ラフコリー

「名犬ラッシー」でも知られる犬種、コリー。世界で最も有名な犬種のひとつです。

スコットランドの牧羊犬として飼われていたルーツをもち、賢く穏やかで忠実な性格です。

コリーには「コリーアイ(コリー眼異常)」という特有の病気のほか、さまざまな遺伝病をもつ可能性があります。

コリーの特徴や、かかりやすい遺伝病と原因、症状、予防方法などをご紹介します。

コリーとは

スコットランドの牧羊犬

スマートな顔立ちとふさふさの体毛が特徴的なコリー。コリーといっても種類があり、一般的に「コリー」というと「ラフコリー」を指します。

ラフコリーは北部イングランド、スコットランドの農場で牧羊犬として飼われていた経歴があり、忍耐力と運動力があります。
体高56~61cm、体重20~35kgと大柄な犬種です。

体を動かすのが大好き

ドッグスポーツなどでも活躍する犬種なので、運動不足は天敵です。
運動不足がストレスとなり、体調不良を起こします。飼う場合は、十分な運動ができる環境を用意してあげましょう。

名前の由来

「コリー」の由来は定かではありません。古いスコットランド語で「黒い犬」という意味があり、牧羊犬全体を指します。

現代は白と茶の毛色で知られていますが、もともとはトライカラーやブルーマール(黒、グレー、青のまだら模様)が主流だったようです。

ビクトリア女王の愛犬

1860年頃、イギリスのビクトリア女王はスコットランドで見つけたコリーを気に入り、2頭を連れ帰りました。このコリーは「スムースコリー」だったと伝えられています。

スムースコリーはラフコリーのように毛が長くありません。
ラフコリーと同様に牧羊で活躍しましたが、実はスムースコリーとラフコリーは別の犬種です。

その後、茶と白の優雅な毛並みで、よりおとなしい性格のラフコリーに人気が集中し、現在ではとても珍しい犬種になっています。輸入すると50万円以上になることも。

最も賢い犬、ボーダーコリー

ボーダーコリー

ラフコリーと同様、イングランドで牧羊犬として活躍したのがボーダーコリ―です。

「ボーダー(国境)」の名の通り、イングランドとスコットランドの国境地帯で牧羊犬として飼われていました。

8~11世紀、バイキングによってスコットランドへ持ち込まれたトナカイ用の牧畜犬が祖先と考えられています。

容姿よりも作業能力を重視され、他のコリー種との交配を経て19世紀末頃に現在のボーダーコリ―になりました。

全犬種の中で最も知能が高いという研究結果もあり、人間の指示を飲み込むのが得意です。
元が牧羊犬なので、運動能力にも優れています。

白と黒の模様が代表的ですが、茶系のボーダーも珍しくなく、毛色の組み合わせは35種類もあるといわれています。

コリーのかかる遺伝病

セロイドリポフスチン症(CL病)

ボーダーコリ―をはじめ、数種類の犬種で確認されている遺伝性疾患です。

運動障害、知的障害、視力障害を起こし、死に至る危険もあります。

脳内に溜まる老廃物を除去する酵素の分泌に障害があると発症します。

治療法はなく、遺伝性のため予防も困難な病気です。

遺伝性好中球減少症(TNS)

ボーダーコリーに起こる遺伝病です。

白血球のひとつである好中球が少なく、細菌を破壊する力が低くなる病気です。免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。

早い場合は生後数週間で発症し、ほとんどの場合は亡くなってしまいます。

症状がさまざまなので診断が難しいですが、ステロイド剤などが効くこともあります。

イベルメクチン感受性(MDR1)

犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)という、寄生虫による感染症のための予防薬として使われる「イベルメクチン」。

場合によっては発熱やショックを引き起こすことがあり、コリー系では使用が禁止されています。

コリーでなくとも、薬物に関係するMDR1遺伝子の変異があると、イベルメクチンの投与によって傾眠や運動失調など神経毒性の副作用を引き起こします。

コリー・アイ(CEA)

コリーの名前を冠した「コリー・アイ(Collie-Eye Anomaly/コリー眼異常/コリーアイ症候群)」は、目にさまざまな異常が起こる遺伝性疾患です。

ラフコリー、ボーダーコリーだけでなく、シェットランド・シープドッグやオーストラリアン・シェパードなども発症する可能性があります。

見た目に全く異常がない軽度のものから、失明に至るものもあります。異常の有無は眼底検査でわかります。
ブルーマールのコリーは眼底色素が薄く、診断が難しいこともあります。

コリーの代表的遺伝性疾患

米国では8~9割のコリーが保有しているという検査報告もあります

遺伝子としてもっているのに発症しないのは、「潜性遺伝(せんせいいでん)」のため病気が発現しないからです。
発現しないだけで遺伝子としては持っているため、子供に受け継がれ発症する恐れがあります。

予防法、治療法ともに確立されておらず、発症したら不便のないよう生活環境を整えるほかありません。

まとめ

  • コリーはセロイドリポフスチン症、遺伝性好中球減少症、コリー・アイといった遺伝病にかかる
  • 遺伝病は予防・治療とも困難
  • 寄生虫予防の薬「イベルメクチン」は使用禁止
  • 遺伝病をもつ犬を繁殖させない

牧羊犬として鍛えられ、並外れた体力をもつコリーも、さまざまな遺伝病のリスクをもっています。

病気によって適切な対処法が異なるため、異常が見られたら検査してもらいましょう。

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ペット用遺伝子検査Pontely(ポンテリー)では、コリーのかかりやすい遺伝病「神経セロイドリポフスチン症(CL)」「高尿酸尿症」「変性性脊髄症(DM)」のリスクを調べることができます。

将来的な生活や繁殖の参考になり、よりよい生活環境を与える助けになります。
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