
心臓に酸素や栄養を送る冠動脈。この血管に起こる障害が冠動脈疾患です。 日本人の3大死因のひとつとされ、年間7万人を超える死亡者数を記録しています。
冠動脈疾患には18の遺伝子が関係しています。 冠動脈疾患の原因と関連遺伝子、予防と対策についてご紹介します。
冠動脈疾患の発症には遺伝子が関係している
冠動脈疾患とは
冠動脈疾患は、心筋の酸素不足により胸痛発作が起こる病気です。 虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)とも呼ばれ、病態によって狭心症(きょうしんしょう)と心筋梗塞にわかれています。
冠動脈にコレステロールが溜まって血流が減少し、心臓に十分な酸素と栄養素が供給されなくなって起こるのが狭心症です。
冠動脈が何らかの原因でふさがり、血流が途絶えることで起こるのが急性心筋梗塞です。 血液が止まって心筋が壊死し、心臓が機能しなくなる病気で、年間3万7千人の死亡者が記録されています。
冠動脈疾患の原因
動脈硬化や脂質異常症などによって引き起こされると考えられています。
動脈は、心臓から送り出される血液を全身に運ぶパイプの役割があります。血液を運ぶだけでなく、状況に応じて心臓に押し戻すなど、効率よく血液を運ぶ作業を行っています。 そのため動脈はしなやかで、血液の圧力に耐えられる強さと弾力性をもっています。
しかし、老化で血管が硬くなったり、冠動脈の内側にコレステロールなどが溜まったりすると、血管が狭くなって血流が悪くなります。
アテロームという脂質やカルシウム、細胞の死骸などが動脈内を流れ、細い血管に詰まったりすることが原因になることもあります。
40歳以上の方は特に注意!?
冠動脈疾患のうち、とくに心筋梗塞については、男性では40歳以上から急激に増え、女性は50歳以上から高齢になるほど増える傾向があります。
冠動脈疾患にかかわる18の遺伝子
冠動脈疾患の発症しやすさには、18の遺伝子が関係しているとわかっています。 遺伝子の働きがわかっていないものもありますが、今後の研究によっていずれ判明するでしょう。
- PPAP2B
- ホスファチジン酸をジアシルグリセロールに変換する酵素を産生する遺伝子。
- SORT1
- VPS10関連ソルチリンファミリー属するタンパク質の一種を産生する遺伝子。
- MIA3
- 細胞内小器官である小胞体からゴルジ体へのタンパク質を分泌するのに重要な小胞体輸送因子(MIA)ファミリーのひとつを産生する遺伝子。
- GGCX
- γ-グルタミルカルボキシラーゼを産生する遺伝子。VKDPsという別のタンパク質を活性化することが知られている。
- EDNRA
- 持続的な血管収縮に関与しているエンドセリンの受容体を産生する遺伝子。
- PHACTR1
- アクチンに結合してその再構成を制御するタンパク質を産生する遺伝子。
- HLA、DRB-DQB
- 免疫応答において、自己と非自己を見分けるための目印となるタンパク質を産生する遺伝子。
- LPA
- セリンプロテアーゼの一種を産生する遺伝子。プラスミノーゲン活性化因子を阻害する機能があることが知られている。
- 9p21
- 遺伝子の特定には至っていないが、この領域には冠動脈疾患や頭蓋内部脈癌といった循環器疾患に関係することが知られている。
- CDKN2B
- 細胞周期の進行を調整するタンパク質の一種を産生する遺伝子。
- CXCL12
- 免疫応答、炎症反応、組織の恒常性維持といった多様な細胞機能に関与するケモカインの1つを産生する遺伝子。
- PDGFD
- 血小板由来成長因子ファミリーに属するタンパク質の一種を産生する遺伝子。
- SH2B3
- サイトカインのシグナル伝達の抑制因子を産生する遺伝子。造血過程で重要な役割を果たしていると考えられている。
- ALDH2
- アルコール代謝の中間産物であるアセトアルデヒドを分解し、無毒化するタンパク質を産生する遺伝子。
- FLT1
- 血管内皮増殖因子受容体の一種を産生する遺伝子。血管形成に関与することが知られている。
- LDLR
- 血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)と結合し、細胞に取り込むタンパク質を産生する遺伝子。
- ZNF507
- 現在研究中の遺伝子で、詳細な機能は不明。
- KCNE2
- 細胞内外のカリウムの輸送にかかわる電位依存症カリウムチャネルの一種を産生する遺伝子。
冠動脈疾患を予防するには
まずは、冠動脈疾患の要因である動脈硬化や脂質異常症を予防することが大切です。 喫煙や運動不足が要因になるので、禁煙や適度な運動を取り入れましょう。
高血圧も動脈硬化を引き起こす要因です。塩分に注意し、栄養バランスの良い食事をしましょう。
高血圧や動脈硬化の遺伝的な発症リスクが高い人は、冠動脈疾患にも繋がりやすいためとくに注意が必要です。
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冠動脈疾患の発症しやすさは、GeneLife Genesis2.0(ジーンライフ ジェネシス)で検査できます。
原因となる高血圧や動脈硬化の発症しやすさについても検査できるので、あわせてチェックしてみてください。 遺伝的な発症リスクを知り予防しましょう!

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