熱中症やインフルエンザにはCPT2遺伝子の変異が関係している

DNAイメージ

以前の記事で、熱中症の重度と対処法について書きました。
暑さで大量の汗をかくことによって発症する熱中症。筋肉痛や疲労感、頭痛・吐き気や意識喪失(そうしつ)などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

そんな恐ろしい熱中症ですが、実は遺伝子タイプによって悪化しやすい体質かどうかが決まっているのです。

熱中症にかかわる遺伝子CPT2

ミトコンドリア内膜内部に存在する「CPTⅡ(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡ)」という酵素が、熱中症のなりやすさにかかわっています。酵素としては「CPTⅡ」、遺伝子は「CPT2」と表記されます。

カルニチンは、脂肪を燃焼させてエネルギーにするため、脂肪酸をミトコンドリア内部に運搬する働きがあります。中でもCPTⅡは、アシルカルニチンをカルニチンとアシル-CoAに分解する役目があります。アシルCoAはエネルギー源であるATPの元となり、体を動かすエネルギーを生み出すことに繋がります。

CPT2に変異があると…

遺伝子の変異が原因で、CPTⅡがF352CやV605Lといった熱不安定型になっている場合があります。このスニップ(変異)を持っていると、40度以上の高体温でのエネルギー代謝(ATP生産)がうまくいかなくなり、細胞の機能不全につながります。

高温による熱中症になりやすいのは、こういった遺伝子レベルのメカニズムがあるからです。もしインフルエンザ患者がこの遺伝子変異を持っていた場合、インフルエンザ脳症や臓器不全などを引き起こす可能性があります。

遺伝子変異する割合

CPT2の熱不安定型をもつ人は、日本では13.9%~19.8%の割合で確認されています。
実際、熱中症にかかり「体温40度以上」かつ「意識障害またはけいれん」の症状があった患者において、通常よりも多い45.5%がこの変異を持っていました。また、インフルエンザ脳症になった人の遺伝子タイプにおいても、46.2%がこの変異を持っており、遺伝子と熱耐性の関係性が見受けられます。

小児のときに熱でひきつけ(熱性けいれん)を起こしたことのある人は、CPT2変異型である可能性があります。しかしこれは変異の特性を利用した見分け方なので、正確な判別方法ではありません。
遺伝子の変異に知るには、実際に検査・解析をするのが確実です。遺伝子のタイプを知ることで、さまざまな病気のかかりやすさや体質的な弱点がわかり、対策をとることができます。

参考:
熱中症の重篤化に関与する遺伝子のタイプを確認 http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/news/release/20110729.html

疾患関連の遺伝子検査キット

GeneLife Genesis 2.0 Plus(ジーンライフ ジェネシス プラス)

GeneLife Genesis 2.0 Plus(ジーンライフ ジェネシス プラス)

かかりやすい病気、太る要因、肌質、祖先のルーツ、お酒の強さなど、さまざまな病気・体質に関する項目を一度に検査できるキットです。

¥14,900

MYCODE ヘルスケア

MYCODE ヘルスケア

病気のかかりやすさ、最適なダイエット方法など、全280項目の遺伝的体質がわかる総合遺伝子検査キットです。

¥29,800

ジーンクエストALL

ジーンクエストALL

健康リスク・体質の遺伝的傾向と祖先のルーツを知ることのできるフルパッケージ版の遺伝子検査キットです。

¥29,800