
高血圧は日本人の七大生活習慣病のひとつで、血圧が高い状態が慢性的に続く状態のことです。 目立った症状が無く「サイレントキラー」と呼ばれ、重大な疾患を引き起こす要因となる病気です。
高血圧性疾患の総患者数は1000万人を超え、13人に1人の割合で発症しているという調査結果が出ています。
高血圧の発症しやすさには、11の遺伝子がかかわっています。 高血圧の原因と関連遺伝子、予防と対策をご紹介します。
高血圧の発症には遺伝子が関係している
高血圧とは
血圧とは血液が血管を押す力のことです。血液による血管への圧力を血圧といいます。 全身の血管に血圧がかかっていますが、普通は上腕動脈の圧力を検査します。
高血圧の基準は、最高血圧が140mmHg以上、あるいは最低血圧が90mmHg以上の状態が続くことと定義されています。
高血圧は自覚症状を認識しにくく、気づいたときには病気が進行していることがあります。合併症を引き起こし、生死にかかわる状態になっているケースもあることから、サイレントキラー(沈黙の暗殺者)とも呼ばれています。
- 血圧の単位
- mmHgとはミリメートル水銀のことで、血圧計に水銀が使われていたことに由来します。血圧に比例して水銀柱の目盛が上がる仕組みです。 現在は水銀を使わない電子式の血圧計が一般的ですが、単位として水銀の名残があります。
高血圧の原因
血圧の変動には以下の要因があります。
- 心臓から血管へと送り出す血液量(心拍出量)
- 全身の血液の量(循環血液量)
- 末梢動脈に血液が流れるときの抵抗(末梢血管抵抗)
- 血液の粘り気(血液粘稠度)
中でも心拍出量と末梢血管抵抗に異常が起こると、血圧が高くなりやすいと言われています。血液量が増え、血液が流れづらくなると、高血圧を引き起こしやすくなるということです。
高血圧は遺伝による要因が大きい
血圧上昇の原因が明らかなものを「二次性高血圧」、原因が特定できないものを「本態性高血圧(一次性高血圧)」といいます。 しかし二次性高血圧は全体の10%未満しかなく、高血圧のほとんどは原因が特定できません。
本態性高血圧は遺伝によるものが60%、環境(普段の生活)によるものが40%と分かっています。 健康的な生活をしている人でも潜在的に高血圧になりやすい人が多く、生活習慣次第で発症しかねないということです。
環境因子は肥満、塩分、アルコール、運動不足などです。遺伝的に高血圧発症リスクの高い人は、とくに気を付けましょう。
年齢が上がるほど注意が必要

高血圧の患者数は年齢に比例し、40代から急激に発症が増えます。この傾向は男女ともほぼ同じです。
高血圧にかかわる11の遺伝子
高血圧の発症しやすさには、11の遺伝子が関係しているとわかっています。 遺伝子の働きが判明していないものもありますが、今後の研究によっていずれ判明するでしょう。
- CASZ1
- ジンクフィンガーに属する転写因子の一種を産生する遺伝子。
- MOV10
- RNAの立体構造をほぐすRNAヘリカーゼの一種であると考えられている。高ウイルスシステムであるRNA干渉(RNA interference)に関与していると考えられている。
- ADD2
- 細胞間接着にかかわる膜骨格タンパク質の一種を産生する遺伝子。
- FGF5
- 線維芽細胞成長因子に属するタンパク質の一種を産生する遺伝子。細胞の生育や形態形成、組織の修復などに関与する。
- CYP21A2
- 酵素のシトクロムP450スーパーファミリーのひとつで、薬物代謝とコレステロール、ステロイドや他の脂質などの合成に関与する様々な反応系を触媒する酵素のひとつを参照する遺伝子。
- CYP17A1
- 薬物代謝とコレステロール、ステロイドや他の脂質の合成に関与する様々な反応を触媒する酵素のひとつを参照する遺伝子。
- M6PR
- P型レクチンファミリーに属するタンパク質を産生する遺伝子。ゴルジ体からリソソームへ加水分解酵素を輸送する機能があると考えられている。
- ATP2B1
- 細胞内でのカルシウム濃度の調整にかかわるタンパク質を産生する遺伝子。
- WSCD2/KIAA0789
- 研究中の遺伝子で、詳細な機能は不明。
- CSK
- SRCというがん遺伝子の機能を抑制するタンパク質を産生する遺伝子。
高血圧の恐ろしさは合併症にある
高血圧は自覚症状に乏しい病気ですが、放っておくと命の危険にも繋がる合併症を引き起こす原因になります。
脳や心臓など致命的な臓器にかかわる病気が多く、これらの発症しやすい遺伝子を持っている方は特に注意が必要です。
- 高血圧性心肥大
- 高血圧が続くと血管が硬くなります。すると全身に血液を送る心臓も大きな力が必要になり、負担も大きくなります。心臓の筋肉が発達し、心臓が大きくなります。(心肥大) 心肥大になると、心不全、心室性不整脈、狭心症、心筋梗塞など、さらなる合併症を引き起こす要因になります。
- うっ血性心不全/心不全
- 心臓の働きが低下して血液の循環がうまくいかなくなり、体に血液がよどんだ状態になることです。 足や顔がむくんだり、少し運動しただけで、息切れ、動機などの症状がでます。
- 脳出血、脳梗塞
- 脳出血は高血圧と深い関係があり、血圧を安定した状態に保つことで予防できると言われています。 脳梗塞は脳の動脈硬化が進み、部分的に血液のめぐりが悪くなる病気です。高血圧は脳梗塞の大きな原因となりますが、糖尿病や高コレステロール血症(脂質異常症)が合併すると、発症する危険度が高くなります。
- 狭心症、心筋梗塞
- 血管が狭くなり、心臓の筋肉に十分な酸素・栄養を送り込めなくなるのが狭心症です。血管が完全に詰まってしまうのが心筋梗塞です。 どちらも動脈硬化が大きな原因で、血の塊による血栓(血管をふさぐこと)や、血管の収縮によって引き起こされます。
- 眼底網膜病変(がんていもうまくびょうへん)
- 眼底とは、眼の奥にある「カメラのフィルム」の役割をする部分です。 網膜の血管病変は脳の血管の状態を表しているともいわれ、眼底に病変があればとくに脳出血、脳梗塞に注意が必要です。
- 高血圧性腎障害
- 腎臓の糸球体(しきゅうたい)という細い血管の集まった部分が障害され、老廃物の十分なろ過ができなくなったり、尿にタンパクが出るようになったりします。 腎障害は高血圧を悪化させる要因にもなります。
高血圧を予防するには
高血圧を防ぐには、塩分、肥満、お酒、運動が鍵です。
食塩を使う習慣の無い部族では高血圧になることが無く、食塩を使う習慣が入ってくると血圧が上昇すると知られています。 塩分を控えることで、高血圧を防ぐことができます。
肥満者は、普通の体型の人に比べて高血圧が2~3倍多いと分かっています。 肥満はさまざまな病気の要因にもなるので、とくに注意が必要です。
お酒や運動についても、適度な飲酒・運動を心がけましょう。
高血圧の発症リスクがわかる遺伝子検査キット

高血圧の発症しやすさは、GeneLife Genesis2.0(ジーンライフ ジェネシス)やMYCODE(マイコード)ヘルスケアで検査できます。 高血圧の要因となりうる肥満遺伝子や、合併症である脳梗塞、心筋梗塞といった病気のかかりやすさも同時に検査できます。
遺伝的な発症リスクを知り、大病を予防しましょう!

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