
膵臓(すいぞう)に起こる炎症の総称、膵炎。 脂分の多い食事やアルコールの過剰摂取によって引き起こされ、さまざまな合併症や死亡の危険性もある病気です。
膵炎の発症しやすさには遺伝子がかかわっていることがわかっています。 膵炎の症状と原因、遺伝子との関係と予防方法をご紹介します。
膵炎の発症しやすさには遺伝子が関係している
膵炎とは
膵臓は胃の後ろにある臓器で、インスリンを産生して血糖値の調整をしたり、膵液を分泌して消化を助けたりする機能を持っています。膵液には、胃酸を中和させる働きもあります。
膵臓が分泌した消化酵素によって、膵臓自身が傷つくことがあります。これが原因で炎症になるのが膵炎です。
膵炎を発症すると、お腹の上部で激しい痛みが起きます。とくに脂分の多い食事やアルコールを摂取したあとに起きやすいようです。 吐き気と嘔吐が起こることも多く、吐いても腹痛が続きます。背中に痛みを感じたり、発熱する場合もあります。
膵炎の原因
アルコールの過剰摂取が主な原因と考えられています。 脂分の多い食事や暴飲暴食、不規則な食生活が膵臓に負担をかけ、膵炎を起こす原因になると言われています。
1日の飲酒量が増えるに伴い、急性膵炎のリスクが上昇すると知られています。
急性膵炎と慢性膵炎
急性膵炎とは
急性膵炎はアルコールと胆石が原因とされています。
ひとつは、アルコールの過剰摂取が原因となるケース。 膵臓の分泌がアルコールによって刺激され、多量の膵液により膵臓と総胆管を繋ぐ膵管の内圧が上がって炎症を起こします。
もうひとつは、胆石が膵液の流れを止めてしまうことによるものです。 胆石は、胆汁が固まってしまいできるものです。胆汁が流れる胆管と、膵液が流れる膵管は十二指腸乳頭部という共通の出口を持っています。ここに胆石が詰まり、胆汁や膵液がせき止められることで炎症を起こします。
膵液が血液から全身にまわり、心臓や肺、腎臓などが一度に障害を受け、死に至るケースもあります。 急性膵炎は特に男性に多く、中高年層の発症が最も多い病気です。
慢性膵炎とは
膵臓に繰り返し炎症が起こることにより、細胞が破壊され縮んで固くなっていく病気です。進行すると元に戻らない非可逆的な変化と言われています。
飲酒が原因となるアルコール性膵炎が約3分の2を占めており、原因不明の特発性膵炎もあります。
飲酒と膵炎の関係性は明らかとされていますが、大量飲酒者では1~2%しか発症しないことから、飲酒量ではなく環境や体質との関係性もあると考えられています。
膵炎にかかわる遺伝子
膵炎の発症しやすさには、遺伝子が関係しているとわかっています。 遺伝子検査をすれば自分がどの遺伝子型なのかわかり、膵炎の発症しやすさが判定されます。
- KCNA3
- 細胞内外のカリウムの輸送にかかわる電位依存性カリウムチャネルの一種を産生する遺伝子。 この遺伝子がTC型CC型の場合、膵炎の遺伝的リスクが高い傾向にある。
- PRSS1
- トリプシノーゲンというタンパク質分解酵素を産生する遺伝子。トリプシノーゲンは膵臓で分泌され、小腸で活性型のトリプシンとして機能する。 この遺伝子がTT型TC型の場合、膵炎の遺伝的リスクが低い傾向にある。
- CLDN2
- 細胞間の強固な接着構造であるタイトジャンクションの形成にかかわるタンパク質の一種を産生する遺伝子。 この遺伝子がTT型TC型の場合、膵炎の遺伝的リスクが高い傾向にある。
膵炎の主な合併症
膵臓は十二指腸や胆のうなどの臓器にかかわっています。 膵炎を発症すると、関連する臓器を中心にさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
- 膵石
- 膵管の中にできる結石で、慢性膵炎の患者のうち40~50%の確率で見られる。膵液の流出障害を引き起こし、腹痛発作や急性炎症の一因になる。
- 膵嚢胞(すいのうほう)
- 膵臓の中や周囲に液体のたまった袋ができた状態。出血や感染症を起こしたり、膵液がのう胞内に流れ込んだりして慢性膵炎を悪化させる。
- 胆管狭窄(たんかんきょうさく)
- 膵頭部の炎症や線維化によって総胆管が狭くなり、胆汁の流れが悪くなって血液に逆流し、黄疸(おうだん、眼球や皮膚が黄色くなる)を引き起こす場合や、胆管炎を発症させることもある。
- 膵臓がん
- 慢性膵炎や糖尿病が要因といわれる。膵臓にできるがんのうち、90%以上は膵管の細胞にできる。これを膵管がんというが、膵臓がんというと通常はこの膵管がんを指す。 ほかに神経内分泌腫瘍、膵管内乳頭粘膜性腫瘍などがある。
膵炎を予防するには
膵炎を予防するには、お酒の飲みすぎや脂分の多い食事を避けるのが第一です。 飲酒量が増えると急性膵炎のリスクも高まるので、ほどほどの飲酒を心がけましょう。脂肪は消化に時間がかかり、それだけ膵臓を長く刺激します。とくに、遺伝的に膵炎にかかりやすい人は注意が必要です。
膵臓にとって大事な栄養素であるタンパク質を摂取することも重要です。ストレスや睡眠不足、喫煙なども膵炎の要因となるので、注意しましょう。
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