
長く美しい被毛と小柄な体格で、「ヨーキー」という愛称で呼ばれるヨークシャー・テリア。
とくにドッグショーでは被毛を長く伸ばした独特のスタイルで知られ、さまざまなカットスタイルが楽しめる人気犬種です。
丈夫な犬種のヨークシャー・テリアですが、「頭蓋骨脱臼」や遺伝病などももっている可能性があります。
ヨークシャー・テリアの特徴や、かかりやすい病気をご紹介します。
もくじ
ヨークシャー・テリアとは
ネズミ捕り用の犬だった
19世紀イギリスで誕生したヨークシャー・テリア(ヨーキー)は、もともとヨークシャー地方で害獣駆除犬として活躍していました。
もともとは小さい犬種ではありませんでしたが、工場や倉庫など、狭い場所でネズミを捕るため小型化されていったのです。
現在は体高15~18cm、体重約1.5~3kgで超小型犬に分類されます。
勇敢で負けん気が強く、頑固で「テリア気質」と呼ばれる性質も持っています。 見た目に反して番犬にも適したヨーキーですが、そういったルーツを持つことに起因しているのでしょう。
「動く宝石」と呼ばれるショードッグ
1861年にイギリスのドッグショーに初めて出展、1870年に「ヨークシャー・テリア」の名が広まりました。
もともとは「ブロークン・ヘアード・スコッチ・テリア(Broken Haired Scotch Terrier)」という長い名前でしたが、より呼びやすい「ヨークシャー・テリア」が定着しました。
産まれたばかりは黒い毛に覆われていますが、「ヨークシャー・テリアの毛色は7回変化する」と言われるように、成長とともに変化していきます。
光沢のある毛並みから「動く宝石」とも呼ばれ、富裕層を中心に人気を博しました。
かかりやすい病気
ヨークシャー・テリアは丈夫な犬種と言われていますが、比較的かかりやすい病気もあります。
膝蓋骨脱臼に注意
膝蓋骨(しつがいこつ)とは、ひざ関節のお皿のことです。この骨が正しい位置からはずれてしまうことを、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)といいます。
脱臼しても初期段階ではほとんど症状がなく、気づかない場合があります。
進行すると、たまに足を浮かせて歩いたり、自分で足を伸ばして脱臼を治そうとします。 脱臼はクセがつくと骨が外れやすくなり、自由に行動できなくなってしまいます。
原因・予防
ヨークシャー・テリアに限らず、小型犬に多い症状です。 小型犬はひざ関節の筋肉や靭帯などの形成異常が多く、膝蓋骨脱臼を起こしやすいです。
予防が難しい病気なので、歩き方に注意して早期発見・早期治療に努めましょう。
ヨークシャー・テリアのかかる遺伝病
進行性網膜萎縮症(PRA)
進行性網膜萎縮症(PRA/Progressive Retinal Atrophy)は、遺伝性の病気です。親犬からその遺伝子を受け継いでいた場合、発症する危険性があります。
網膜にある光を感じ取る部分に異常が生じると、網膜が徐々に委縮して最終的に失明します。白内障を併発することもあります。
ヨークシャー・テリアだけでなく、トイ・プードル、ゴールデン・レトリバー、アメリカン・コッカー・スパニエル、オーストラリアン・シェパードなど、さまざまな犬種で発症する可能性があります。
症状
- 暗い場所で目が見えにくい
- 夕暮れや夜の散歩を嫌がる
- 歩き方がぎこちない
- 物にぶつかる、つまづく
- 端っこを歩く
- あまり走らない
- 音に敏感
進行性網膜萎縮症を発症すると、暗いところで目が見えにくくなり、夕暮れや夜間の散歩中に不安な様子を見せることがあります。
物につまづいたり、溝に落ちたり、暗いときの外出を嫌がるようになります。
徐々に進行し、明るいところや昼間でも目が見えなくなってきます。活動量が少なくなったり、動きが緩慢になり、壁伝いに歩いたり、階段の上り下りがぎこちなくなります。
暗闇で目が光っていると注意?
犬の目には「タペタム(輝板/輝膜)」という構造があり、暗い場所でもわずかな光で目が見えるようになっています。
犬の目が暗闇で光って見えるのはこのタペタムのせいですが、進行性網膜萎縮症でタペタムの反射が強くなり、いつも以上に光って見えることがあります。
予防方法
進行性網膜萎縮症は、現在明確な予防方法・治療方法はありません。 遺伝病で健康状態とは関係なく発症する可能性があります。
ビタミンE、アスタキサンチンなどの抗酸化剤や犬用サプリメントによって網膜組織の酸化を抑え、進行を遅らせることができるといわれています。
直接的に命の危険がある病気ではありませんが、明確な治療法が無く、完治は困難です。
まとめ
- ヨークシャー・テリア(ヨーキー)は害獣駆除犬を祖先にもつ
- 狭い場所でネズミを探すため、小型化された
- 勇敢で負けん気が強い「テリア気質」で、番犬にも適している
- 成長とともに毛色が変わる
- 光沢のある毛並みで「動く宝石」と呼ばれる
- 膝蓋骨脱臼など小型犬特有の病気に注意
- 進行性網膜萎縮症などの遺伝性疾患をもつ可能性がある
- 遺伝病は予防・治療とも困難
- 遺伝病をもつ犬を繁殖させない
もとは害獣駆除犬ながらショードッグとしてデビューし、常に人気犬種上位にランクインするヨークシャー・テリア。
丈夫な犬種ですがかかりやすい特有の病気などもあるので、ちょっとしたしぐさにも注意して早期発見・早期治療につなげましょう。
ペットの遺伝病リスクがわかる遺伝子検査キット
ペット用遺伝子検査Pontely(ポンテリー)では、ヨークシャー・テリアのかかりやすい遺伝病「進行性網膜委縮症(PRA)」「フォンウィルブランド病タイプI(vWD1)」「変性性脊髄症(DM)」のリスクを調べることができます。
将来的な生活や繁殖の参考になり、よりよい生活環境を与える助けになります。 ペットショップやブリーダー向けに「認定証」も発行しているので、ペットの購入を考えている人へ安全性をアピールすることができます。

Pontely Health Plan(ポンテリー ヘルスプラン)
犬種毎のかかりやすい3つの遺伝性疾患リスクを検査します。発症に備えたり、販売用としてリスクの低いペットの証明にもなります。 ペット用価格¥15,000