
日本の代表的な犬種、柴犬。1万年以上も昔から日本に存在し、猟犬として人間と共存してきました。
柴犬はさまざまな皮膚疾患の多い犬種としても知られていますが、「GM1-ガングリオシドーシス」という致死性の危険な遺伝病を発症する危険性もあります。
柴犬の特徴、ガングリオシドーシスの原因、症状、予防方法などご紹介します。
柴犬とは
2番目に狼に近い犬種
日本独自の犬種と認識されているかもしれませんが、柴犬は世界の犬の歴史として非常に古い犬種です。
DNA解析によると、シャーペイ(中国)やバセンジー(アフリカ)に次いで2番目に狼に近い犬種と判明しています。
昭和時代、戦争による混乱や犬ジステンパー(致死率の高い感染症)の流行、飼育管理の悪さから交雑種が増え、純粋な柴犬は激減しました。
現代では縄文柴の特性に近づけるべく活動している団体もあります。
自立心の強い猟犬
柴犬は元来愛玩犬ではなく、猟犬として人間と共同生活してきました。
猟場で鍛えられていたルーツを持つことから自立心が強く、人間に甘えるのは得意ではありません。
服従心や忠実さはありますが、保守的で防衛心が強いので、テリトリーを侵す相手には容赦しません。
上下関係にも厳しいので、甘やかさずしっかりと教育し、信頼関係を築く必要があります。気難しい性質から、犬を初めて飼う人には難しいと言われています。
名前の由来
柴犬の名前の由来はっきりしておらず、いくつかの説があります。
- 被毛の色が「刈り取った柴の色」に似ていたという説
- 猟場に置いて柴の中を巧みにくぐりぬけて獲物をしとめていたから、という説
- 「小さいもの」を意味する古語「シバ」からきたという説
- 「柴」という漢字はただの当て字であるという説
皮膚病にかかりやすい
病気全般に強いと言われる柴犬ですが、皮膚疾患の多い犬種です。
真菌が原因のもの、内分泌疾患、食物アレルギー、接触アレルギー、アトピーなど、さまざまな皮膚病を発症する恐れがあります。
こまめなブラッシングや犬の居場所を清潔に保つなどの予防策を施しましょう。
柴犬の遺伝病GM1-ガングリオシドーシス
原因と症状
「GM1-ガングリオシドーシス」は、異常のある遺伝子を受け継ぐことによって発症する遺伝性疾患(遺伝病)です。
ライソゾーム酵素「ベータガラクトシダーゼ」の欠損により、正常であれば代謝されるはずの「ガングリオシド」が脳や内臓に蓄積し、「ケラタン硫酸」や「オリゴ糖」が骨に蓄積して、さまざまな神経症状や運動失調を起こす病気です。
- ガングリオシド
- シアル酸をもつ糖脂質で、脳や神経組織に多く含まれる。神経機能や細胞膜が営むさまざまな機能に関与する。
症状
- バランスの欠如
- 麻痺
- 歩行・起立不能
- 視力障害
- 筋緊張
- 痙攣
上記のようにさまざまな症状を引き起こし、15か月齢程度で死亡してしまいます。
予防と治療
GM1-ガングリオシドーシスは遺伝病のため、予防方法はありません。
関連遺伝子を保有していても必ず発症するわけではありませんが、子供に受け継がれ発症する可能性があります。
有効な治療方法も見つかっていないので、関連遺伝子を持っている柴犬は繁殖させないように注意しましょう。
まとめ
- 柴犬はさまざまな皮膚病にかかりやすい
- GM1-ガングリオシドーシスという遺伝病を持つ可能性がある
- 遺伝病は予防・治療とも困難
- 遺伝病をもつ犬を繁殖させない
古くから日本に住み、猟犬として鍛えられた柴犬も、さまざまな皮膚病をはじめ遺伝病のリスクももっています。
遺伝病は繁殖段階で止めるしかありませんが、皮膚病は日ごろのケアで予防できるので、生活環境に注意して健康的な生活が送れるようにしてあげましょう。
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