
フランス原産の小型犬、トイプードル。数ある犬種の中でもトップクラスの人気を誇ります。
プードルの祖先は荷車を引いたり、猟犬として活躍していたこともあり、人間にも従順で欠点の無い家庭的な性格です。
トイプードルは「進行性網膜萎縮症(しんこうせいもうまくいしゅくしょう)」という遺伝性の病気にかかりやすい犬種です。
トイプードルの特徴や、進行性網膜萎縮症の原因、症状、予防方法などをご紹介します。
トイプードルとは
フランス貴族が生んだ小型犬
トイプードルは、「プードル」という犬種の中で最も小さいサイズのことです。 スタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイという4つのサイズに分けられていますが、犬種としてはすべて同じです。
体高約26~28cm、体重約3~4kgのものがトイプードルと呼ばれます。 超小型犬といわれるトイプードルですが、日本で公認されていないタイニープードルやティーカッププードルといった、さらに小さなタイプも存在します。
フランスの犬として有名ですが、ロシアや中央アジア北部の発祥といわれています。
16世紀頃、貴族の間でプードルが人気となって小型化が進み、18世紀頃に現在のトイプードルが誕生しました。
独特のカットは泳ぎが目的
泳ぎが得意なプードルは、鴨猟の獲物回収犬として使われていました。
顔や胸あたりを残した独特のカットスタイルは、泳ぐときに心臓や関節を保護したり、水の抵抗を減らすためのものだったのです。
名前の由来
「プードル」という名前は、ドイツ語で「ばしゃばしゃ水音をたてる」という意味の「プデル」からつけられたと言われています。
フランス語ではプードルとは呼ばず、鴨猟犬だったことから「カニシェ(鴨犬)」と呼ばれます。
活発だが骨折が多い
人と接するのが得意で、芸を覚えたりと賢い性格のトイプードル。祖先が猟犬だったこともあり活発で体力があります。
体を動かすことが好きですが、小型化につれて間接も弱くなっており、骨折も多い犬種です。 運動と休憩のバランスを考え、無理な運動をさせないようにしましょう。
進行性網膜萎縮症とは
遺伝によって発症
進行性網膜萎縮症(PRA/Progressive Retinal Atrophy)は、遺伝性の病気です。親犬からその遺伝子を受け継いでいた場合、発症する危険性があります。
網膜にある光を感じ取る部分に異常が生じると、網膜が徐々に委縮して最終的に失明します。白内障を併発することもあります。
徐々に視力が低下する病気
- 暗い場所で目が見えにくい
- 夕暮れや夜の散歩を嫌がる
- 歩き方がぎこちない
- 物にぶつかる、つまづく
- 端っこを歩く
- あまり走らない
- 音に敏感
進行性網膜萎縮症を発症すると、暗いところで目が見えにくくなり、夕暮れや夜間の散歩中に不安な様子を見せることがあります。
物につまづいたり、溝に落ちたり、暗いときの外出を嫌がるようになります。
徐々に進行し、明るいところや昼間でも目が見えなくなってきます。活動量が少なくなったり、動きが緩慢になり、壁伝いに歩いたり、階段の上り下りがぎこちなくなります。
4~5歳くらいで発症しやすい
1歳頃から発症する「早発型」、4~5歳から発症する「遅延型」があります。トイプードルは遅延型で発症することが多い犬種です。
長く飼っていると年齢のせいかと勘違いしてしまいそうですが、比較的若い時期に盲目となることもあり、進行が緩やかである程度の年齢まで目が見えることもあります。
暗闇で目が光っていると注意?
犬の目には「タペタム(輝板/輝膜)」という構造があり、暗い場所でもわずかな光で目が見えるようになっています。
犬の目が暗闇で光って見えるのはこのタペタムのせいですが、進行性網膜萎縮症でタペタムの反射が強くなり、いつも以上に光って見えることがあります。
予防方法
進行性網膜萎縮症は、現在明確な予防方法・治療方法はありません。 遺伝病で健康状態とは関係なく発症する可能性があります。
ビタミンE、アスタキサンチンなどの抗酸化剤や犬用サプリメントによって網膜組織の酸化を抑え、進行を遅らせることができるといわれています。
直接的に命の危険がある病気ではありませんが、明確な治療法が無く、完治は困難です。
生活環境を整える
進行性網膜萎縮症を発症する可能性がある遺伝子を持っているかどうかは、遺伝子検査でわかります。 動物病院などでも行える他、自宅でできる遺伝子検査キットもあります。
もし関連遺伝子を持っていた場合、いつ発症しても大丈夫なように準備をしておきましょう。
エサや水入れなどの位置を決め、家具なども模様替えしなくていいようにします。家具の配置を換えると、失明した犬には覚えるのが大変です。
犬が歩く邪魔にならないよう、通路や床に置くものにも注意しましょう。
繁殖は要注意
犬の交配や繁殖を考えている場合、「遺伝性の病気は子どもに受け継がれる可能性がある」ということをよく考えましょう。
病気に苦しむ犬を増やさないようにすることも愛情です。
まとめ
- トイプードルは進行性網膜萎縮症にかかりやすい
- 進行性網膜萎縮症は遺伝性の病気
- 明確な予防・治療方法は無い
- 鈍感・臆病な性格と間違われがち
- 夜間の外出を嫌がったり、活動量が減ると注意
- 最終的には失明する可能性が高い
- 白内障を併発することもある
- 発症しやすい遺伝子を持っている場合は、家具の配置や通路に注意する
目は見えなくとも、音やにおいを頼りに生活できます。
散歩やボール遊びなども可能ですが、周りに注意してケガをさせないようしましょう。
ペットの遺伝病リスクがわかる遺伝子検査キット
ペット用遺伝子検査Pontely(ポンテリー)では、トイプードルのかかりやすい遺伝病「進行性網膜委縮症(PRA)」「フォンウィルブランド病タイプI(vWD1)」「変性性脊髄症(DM)」のリスクを調べることができます。
将来的な生活や繁殖の参考になり、よりよい生活環境を与える助けになります。 ペットショップやブリーダー向けに「認定証」も発行しているので、ペットの購入を考えている人へ安全性をアピールすることができます。

Pontely Health Plan(ポンテリー ヘルスプラン)
犬種毎のかかりやすい3つの遺伝性疾患リスクを検査します。発症に備えたり、販売用としてリスクの低いペットの証明にもなります。 ペット用価格¥15,000