サルバドール・ダリの自称子孫「娘ではない」DNA鑑定結果

ダリ劇場美術館

シュールレアリズムの巨匠として知られるスペインの画家サルバドール・ダリ。1904~89年の生涯のうち、彼には血のつながった子どもはいないとされていましたが、彼の娘を名乗る女性が現れ、スペイン裁判所は2017年6月26日にDNA鑑定のためダリの遺体を掘り起こすよう命じました。

鑑定結果は「娘ではない」

7月にダリの遺体を掘り起こして行われたDNA鑑定ですが、9月6日、ガラ・サルバドール・ダリ財団(Gala-Salvador Dali Foundation)は、自称娘のピラル・アベル(Pilar Abel)さん(61歳)について「娘ではない」と発表。2015年から続いていた騒動に終止符が打たれました。

カタルーニャ自治州で霊媒師をしているピラル・アベルさんがもし本当に娘であった場合、財団が保管していた遺産の約25%まで相続権利を得ることに。
ダリには妻がいましたが子どもはいないというのが通説で、妻以外の女性との間にできた子どもであると主張。また「遺産目当てではない」とコメントしていました。

大掛かりな遺体発掘

スペイン北東部フィゲラス「ダリ劇場美術館」の床にダリの墓があります。墓を覆う1トン以上もの石版を取り外すなど、かなり大掛かりな作業になったダリの遺体発掘。ダリの遺体には、トレードマークである上向きの口髭が残っていたそうです。毛髪と歯、爪と2本の骨を採取し、DNA鑑定が行われました。
財団の弁護士は、もしアベルさんの主張が間違っていた場合、多額の請求を受ける可能性があると警告していました。財団は「ばかげた騒ぎが終わって喜んでいる」とコメント。ダリの遺体は近日中に再び墓へ戻されるとのことです。

もし遺伝子解析の技術が無ければ、今回の騒動はさらに混乱し長引いていたかもしれません。人が正しいことを言うとは限りませんが、遺伝子は嘘をつきません。

サルバドール・ダリ(Salvador Dali)
1904年5月11日スペインのカタルーニャ地方フィゲラス生まれ。1925年に最初の個展を開く。1934年にガラと結婚。1982年にガラが死去すると激しく落ち込み、1983年に絵画制作を終了。1989年、心不全により死去。(85歳)
奇抜な作風でシュールレアリスムの代表的な画家として知られる。1969年にはお菓子「チュッパチャプス」のロゴデザイン原型を描いた。