遺伝子検査、受けても大丈夫?経済産業省の指針に従っている業者は?

遺伝子検査、受けても大丈夫?

一般消費者向けに遺伝子検査サービスを行っている業者のうち、4割近くが経済産業省の定めた指針に従っていないという調査結果を、厚生労働省の研究班が2017年12月27日に発表しました。

経済産業省の遺伝子検査に関する基本指針

経済産業省の指針には「検体の安全管理」「事前の説明と同意」「科学的根拠の明示」「カウンセリング体制の整備」などが定められています。

経産省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する論理指針」の基本方針

少し難しい表現をしてありますが、どれも遺伝子検査を受ける人の安心・安全を守るためのものであり、順守が必要と思われるものばかりです。

  • 人間の尊厳の尊重
  • 事前の十分な説明と自由意志による同意(インフォームド・コンセント)
  • 個人情報の保護の徹底
  • 人類の知的基盤、健康及び福祉に貢献する社会的に有益な研究の実施
  • 個人の人権の保障の科学的又は社会的利益に対する優先
  • 本指針に基づく研究計画の作成及び遵守並びに独立の立場に立った倫理審査委員会による事前の審査及び承認による研究の適正の確保
  • 研究の実施状況の第三者による実地調査及び研究結果の公表を通じた研究の透明性の確保
  • ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する啓発活動等による国民及び社会の理解の増進並びに研究内容を踏まえて行う国民との対話

何の指針にも従っていない業者は7社

指針を順守しているかという今回の調査は2016年11月~17年1月に行われ、遺伝子検査を掲げる697社を対象にし、そのうちサービス提供を行う73社を分析。

経産省指針に従っていたのは41社(56%)、自社指針を定めていたのが20社(27%)、特定の指針に従っていないという業者は7社(9%)ありました。

NPO法人「日本臨床検査標準協議会(JCCLS)」などが、何度調べても正しい結果が得られるために定めた検査の手順などのルールを守っていたのは10社(14%)という結果になりました。

また、「検査の委託先がどの指針に従ったか分からない」という業者は22社あり、JCCLSが定める検体分析の指針が浸透していないことが浮き彫りになりました。

検査コスト低下と新規参入業者の増加問題

遺伝子検査の解析コストは低下し続け、新規参入の企業が相次いでいます。

厚労省研究班代表の高田史男教授(北里大学)は「無秩序に拡大しており、法規制が必要」と指摘しています。

経産省の指針に基づいたCPIGI認定

CPIGI認定のサンプル

NPO法人「個人遺伝情報取扱協議会(CPIGI)」が制定した「CPIGI認定」という制度があります。

経済産業省の指針を順守し、適正な遺伝子検査サービスを提供するための認定制度で、遺伝子検査を取り扱う事業者が事業(商品)ごとに申請し、認定を受けるものです。

CPIGI認定を受けた事業(商品)

法的な規制ではありませんが、遺伝子検査を受けたいけど不安を感じる、という方は、CPIGI認定を基準にキットを選ぶのもいいと思います。

※2017年6月15日認定分。青文字の商品名は商品詳細ページへのリンクになっています。

イービーエス株式会社肥満遺伝子
ジェノタイピスト アルコール感受性遺伝子
ジェノタイピスト 葉酸代謝遺伝子
N.A.gene株式会社エピエ(apier)シリーズ
株式会社エバ―ジーンDearGene
株式会社サインポスト運動&栄養プログラム
糖尿病合併症リスク判定
動脈硬化リスク判定
ジェネシスヘルスケア株式会社GeneLife Genesis(疾病リスク、体質関連遺伝子検査)
GeneLife Myself 2.0(自己分析遺伝子検査)
GeneLife Haplo(祖先遺伝子検査)
GeneLife 肥満遺伝子検査
GeneLife 肌質老化遺伝子検査
GeneLife メタボ関連遺伝子検査
株式会社DeNAライフサイエンス遺伝子検査・マイコード(MYCODE)
日鉄住金環境株式会社遺伝子解析受託サービス
株式会社ハーセリーズ・インターナショナルDNAダイエット
DNAエクササイズ
ヤフー株式会社HealthData Lab

認定されていないキットはダメなの?

CPIGI認定に法的な力は無く、認定されていないからといって違法・悪質な商品というわけではありません。

経済産業省などが定める指針を順守していることが認定されているので、より安心なキットを選びたいという方のための基準と考えてもいいと思います。

信頼性の高い業者・商品でも認定されていないケースがある

確かに、CPIGI認定されておらず商品説明・検査内容・業者情報の記載などが不十分で「このキット大丈夫…?」という商品もあります。
しかし、きちんとした業者のキットでも、認定を受けていないこともあります。

例えば、ジェネシスヘルスケアの人気キット「GeneLife Genesis2.0(ジーンライフジェネシス)」はCPIGI認定を受けていません。

この件についてジェネシスヘルスケアに問い合わせてみたところ、「ジェネシス2.0は新商品のため認定を取得しておらず、申請の予定」という回答をいただきました。
同キットの旧バージョンである「GeneLife Genesis」は認定されていたので、問題なく認定されると思います。

GeneLife Genesis 2.0 Plus(ジーンライフ ジェネシス プラス)
GeneLife Genesis 2.0 Plus(ジーンライフ ジェネシス プラス)

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