ミトコンドリア・ハプログループBは約4万年前に東南アジアで誕生したグループです。アジアではハプログループDに次いで2番目に大きい集団です。
海を渡って最初に日本へやってきた移住民と考えられており、日本人の約15％がこのグループに属しています。

ハプログループBの特徴

主に東南アジアで広がったグループ

ハプログループBは約4～5万年前にアジアで分岐し、東南アジアやポリネシアといった南方に広まっていきました。

分布としてはイラン、イラク、華南（中国南部）、チベット、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイ、日本、台湾、フィリピン、ポリネシア、マダガスカル、メラネシア、ミクロネシア、ハワイなどで、アメリカ先住民からも検出されます。
とくにハワイの先住民であるポリネシア人にはグループBが多く、9割がこのグループに属しています。

新天地を求め続けた人々

初期の単一グループの中では最も広範囲に移動しており、太平洋を取り囲むように分布しています。未知なる土地を開拓し、新天地を求め続ける「冒険者」の精神を持っているグループと言えます。

陸・海問わず移動を続けた彼らですが、東南アジアから南太平洋の島々は数百キロ離れています。にもかかわらず分布が広がっているということは、優れた航海技術を持っていたという証でもあります。
大型の船ではなくカヌーのような小型船を使い、少人数で海を渡ったと考えられています。危険をかえりみず、命をかけて海を渡る姿はまさに冒険者です。

時を越えた再会

ハプログループBは太平洋の北側を陸路でアメリカ大陸へまわっていったグループと、南から海を渡ったグループに分かれています。
南をまわった人々の中には、南米の西海岸まで到達した人もいたと考えられています。その西海岸に住んでいた人々は、陸路を使ってきた同じBグループであった可能性が高いといわれています。つまり同じ祖先をもつ人々が、別々の進路を使って数万年ぶりに再会したのです。

このような例はハプログループでも珍しく、冒険心と高い航海技術をもつグループBならではの現象といえます。

ハプログループBに属する著名人

アメリカのロックミュージシャン、エルヴィス・プレスリー（Elvis Aron Presley）さんや小説家の藤沢文翁（ふじさわぶんおう）さん、お笑いコンビ次長課長の河本準一さんや演歌歌手の小林幸子さんなどがハプログループBに属していると分かっています。

またインカ帝国で見つかったミイラ、人骨はそのほとんどがグループB4であることが分かっています。

同じハプログループに属するということは、共通の祖先をもつ遠い親戚と考えることもできます。

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日本人の大半は9～10のハプログループに分類できます。中にはもっと珍しいグループに属している人もいます。
あなたも冒険者の血を引くグループBに属しているかもしれません。

ハプログループがわかる遺伝子検査キット

ミトコンドリアハプログループはジーンライフ ジェネシス2.0やジーンライフ ハプロなどの遺伝子検査キットで調べることができます。
とくにジェネシスは母方の祖先を知るミトコンドリアハプログループの他に、父方の祖先がわかるY染色体ハプログループも検査できるのでとくにおすすめです。

※Y染色体は男性特有のもので、女性はY染色体ハプログループがありません。

その他のハプログループ

父方の祖先をたどるY染色体ハプログループとは

西ユーラシア最大のハプログループRはアジア・ヨーロッパの分岐点

アフリカ起源最古のハプログループLはミトコンドリア・イヴに最も近い

ハプログループCはモンゴル帝国とアメリカ先住民の共通祖先

中国南部発祥のハプログループN9はアイヌや台湾先住民の祖先

ハプログループM8は北方漢民族や遊牧民にかかわる人種

ハプログループM9はチベットの険しき山々を越えてきた人々

ハプログループFは温暖な地域を好んだ瞬発・パワー型の人種

ハプログループAはシベリアでマンモスを追った狩猟民族

ハプログループGはATP変換率が高く長距離競技が得意な北方民

ハプログループBは数々の島を渡ってきた日本最初の移住民

ハプログループM7は海に沈んだ幻の陸地スンダランドの子孫かも…

東アジア最大集団ハプログループDは弥生時代を支えた長寿民族