ミトコンドリア・ハプログループCはモンゴル帝国を築いた人々とアメリカ先住民の共通祖先となるグループです。日本人では珍しいグループで、属している人は1％未満といわれています。

ハプログループCの特徴

バイカル湖から大陸へ広がったグループ

ハプログループCはハプログループCZの子型で、グループMを祖としています。約3～6万年前にバイカル湖（モンゴル北側のロシア）の周辺で誕生し、シベリア、アメリカ大陸、中国、朝鮮、インド北東部などに広がっていきました。

モンゴル帝国を作り上げた遊牧民

モンゴル周辺で誕生したハプログループCは、人類史上最大の帝国といわれるモンゴル帝国を築いた人々であるといわれています。

モンゴル帝国はチンギス・カン（チンギス・ハン）がモンゴル高原の遊牧民を統一し、1206年に創設された遊牧国家です。
強力な軍事国家でもあり、各地を征服し、西は東ヨーロッパ、アナトリア（現トルコ）、シリア、南はアフガニスタン、チベット、ミャンマー、東は中国、朝鮮半島と、ユーラシア大陸を横断する領土をもっていました。最盛期の領土面積は3300万平方キロメートルで、地球上の陸地のうち約25％を占めていたと言われています。

現在、ハプログループCがユーラシア大陸に広く分布しているのは、このモンゴル帝国による領土拡大の影響ではないかと考えられています。
しかし陸続きではなかった日本はモンゴル帝国の影響を受けなかったため、ユーラシア大陸の人々に比べて割合が少なく、珍しいグループとなっています。

アメリカ大陸まで進出

ハプログループCの子孫たちはモンゴル帝国を作り上げましたが、同じグループCの中にはシベリアからアメリカ大陸へ進出した集団もいました。とくにアメリカ先住民では最大80％もの高確率で発見され、コロンビアなど南アメリカまで到達しています。

同じハプログループの中でも、ユーラシア大陸で勢力をもつようになった人々と、アメリカ大陸で先住民として広がっていった人々に分かれたのです。
どちらも部族として陸路を中心に領土を広げていった点を見ると、血のつながりを重視し誇り高く、民族繁栄のために勢力を広げる野心の強い人々だったのかもしれません。

ハプログループCに属する著名人

中華系アメリカ人のチェリスト馬友友（Yo-Yo Ma）さんがハプログループCに属していると分かっています。

また、メキシコ・チワワ州で発見されたスターチャイルドと呼ばれる人骨は、頭骨が奇妙な形をしていたため未知の生命体と考えられていました。
しかし水頭症という病気による頭骨肥大と判明し、ミトコンドリアDNAを持っていることからも人間の男児であることがわかりました。
スターチャイルドはハプログループCで、一緒に埋葬されていた女性の人骨はグループAとわかり、親子ではなく教育・介護をしていた間柄と考えられています。

同じハプログループに属するということは、共通の祖先をもつ遠い親戚と考えることもできます。

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日本人の大半は9～10のハプログループに分類できます。中にはもっと珍しいグループに属している人もいます。
ひょっとするとあなたは、モンゴル帝国を築いた人々やアメリカ先住民と同じ祖先をもつハプログループCに属しているかもしれません。

ハプログループがわかる遺伝子検査キット

ミトコンドリアハプログループはジーンライフ ジェネシス2.0やジーンライフ ハプロなどの遺伝子検査キットで調べることができます。
とくにジェネシスは母方の祖先を知るミトコンドリアハプログループの他に、父方の祖先がわかるY染色体ハプログループも検査できるのでとくにおすすめです。

※Y染色体は男性特有のもので、女性はY染色体ハプログループがありません。

その他のハプログループ

父方の祖先をたどるY染色体ハプログループとは

西ユーラシア最大のハプログループRはアジア・ヨーロッパの分岐点

アフリカ起源最古のハプログループLはミトコンドリア・イヴに最も近い

ハプログループCはモンゴル帝国とアメリカ先住民の共通祖先

中国南部発祥のハプログループN9はアイヌや台湾先住民の祖先

ハプログループM8は北方漢民族や遊牧民にかかわる人種

ハプログループM9はチベットの険しき山々を越えてきた人々

ハプログループFは温暖な地域を好んだ瞬発・パワー型の人種

ハプログループAはシベリアでマンモスを追った狩猟民族

ハプログループGはATP変換率が高く長距離競技が得意な北方民

ハプログループBは数々の島を渡ってきた日本最初の移住民

ハプログループM7は海に沈んだ幻の陸地スンダランドの子孫かも…

東アジア最大集団ハプログループDは弥生時代を支えた長寿民族